社会という科目
社会=暗記というイメージが非常に強いと思います。 実際のところ、一問一答形式の問題や典型問題などでは、本番の試験では脊髄反射的に解答していく必要があるので、社会という科目に暗記という側面があるのは間違いありません。 ですが、そうなってくると社会の暗記量というのは膨大なものであり、全て正確に覚えるのはなかなか大変なことです。 更に考察問題や正誤問題となってくると、その物事の背景まで理解する必要があり、そこも暗記で対応しようとすると大抵の場合では無理が生じます。 だからこそ、社会では暗記するよりも物のつながりを覚えるほうが重要です。
基本的な勉強方法
前述のとおり、社会はつながりが大切です。 つながりとはすなわち、点ではなく、線・面で捉えるということです。以下にこの例を2つあげます。
問題例
(例1)山口のセメント工業
宇部=セメントというのは中学受験生なら誰でも知っていることです。 そして、山口県は秋吉台に秋芳洞をはじめとした、有名なカルスト地形が広がっていることも有名です。この二つを産業として宇部はセメント、地理として山口はカルスト地形と覚えていると使えない知識になってしまいます。 セメントの原料は、石灰岩です。そして、石灰岩はカルスト地形の構成鉱物です。山口には、カルスト地形が広がっており、それ故宇部を元としたセメント工業が有名であると「線」で覚える必要があるのです。
(例2)越中富山の薬売り
富山と言えば薬売りです。これにも様々な背景が絡んでいます。まず、地理として富山は日本海側の豪雪地帯である為、冬に農業を行うことが出来ません。 この農閑期の金策として、薬の行商が始まったのです。農家なので、農業期にはまた富山に戻る必要があったため、行商という形式である必要があったのです。 更に、この薬売りは藩の方策でもありました。この時代、富山藩は参勤交代などで財政難にありました。その状況を打破するための経済基盤の作成を図ったものでもあったわけです。 つまり、富山の薬売りという産業的な知識は、地理とも歴史とも繋がっているのです。「参勤交代は各藩を財政的に苦しめ、軍事力を低下させることになったが、そのような状況を打破するために富山藩は薬売りをすすめた。 そもそも薬売りするのは農民であり、日本海側特有の豪雪地帯故に、農閑期を活用した行商の形式をとった。」という、地理の中でも「線」で覚え、更に歴史という面でも捉えることができるのです。
上記の例のように、線・面で捉えていくと一問一答で細かな点による暗記よりも知識を確実なものにすることができます。 物事は時系列だけではなく、様々な要因によるつながりです。どんな物事にも理由があるのです。
例には挙げませんでしたが中学以降では更に世界とのつながりも出てきます。その時も同じように考えて、勉強していくと良いでしょう。
この社会の勉強方法は、生徒が社会に興味を持つ為にも役立ちます。ただ、言葉の羅列として覚えるのではなく、そういった観点で講師の皆様が説明してあげれば、徐々に生徒の社会に対するイメージは変わっていくことでしょう。
塾・学校の授業の活用
しかし前述のような暗記の仕方が有効とはいえ、限られた時間ないで成果を出す必要がある講師の皆様ではそのつながりを詳しく説明するのは難しいと思います。 そこで家庭教師として社会を指導する際は、生徒の学校のノートや教科書を活用することをおすすめします。
どの教科も、基本は学校や塾の授業にあります。社会という科目は、扱う事柄が多いために、板書量も比例して多くなっています。その結果、多くの生徒が板書を写すことに精一杯になってしまっています。 先生の解説を聞く余裕がないこともこのようなことが原因であるようです。 そのような時は、教科書を上手く使うことがおすすめです。先生の話をきれいにノートにまとめる必要はないので、教科書などにできるだけ直接書き込んでくるように指導してみても良いでしょう。
社会を暗記科目であるという認識をまず変えてあげるようにしましょう。歴史を物語として捉えるという最近の流行はありますが、他の分野もすべてそうなのです。 時の流れ、人、環境など様々な要因が影響して、今があります。それを事柄だけ取り出すでは、興味を持てない生徒がいても、それは仕方ない事です。 社会に興味を持ってもらい、更に実際の試験でも使えるように覚えやすくする工夫。その手助けを講師の皆様にお願いしたいと考えてます。講師の皆様はその書き込みやノートを元に、生徒の勉強のサポートをしてください。 更に、復習の際は資料集を用いれば、よりつながりを説明しやすくなると思います。写真とはいえ、実物を見るほうがイメージしやすいこともあるからです。
まとめ
理科という科目は、中学3年生・高校2・3年生や中学受験をする小学校6年生でもない限り、日常の勉強で大きなウェイトを占めることはあまりありません。 国語、算数・数学、英語といった、長時間の勉強が必要であり、優先順位の高い科目が存在するからです。 このような時は、上のタイプの生徒と同じく間違えたところや理解があやふやなところについては、原理原則から説明する必要がありますが、同時に重要な個所に絞ってやっていく必要があるのも事実です。 受験が近ければ過去問とその類題中心に、定期テストが近ければ重要な典型問題や学校から提示されたヒントとなる問題を中心にやることになります。 受験がそれほど近くない生徒ならこのような形で指導することが大半になると思います。