不登校の中学生の卒業後は?|進学・就職の割合や選べる進路について

子育て・教育

お子さんが不登校になると、進学や将来について不安に感じる親御さんもいらっしゃるかと思います。ここでは不登校だった子どもが将来どのような進路を選んだか、また具体的な進学先についてご紹介していきます。

不登校の中学生の進学や就職の割合

以下の表は20歳時点の人を対象に調査した、中学生のときに不登校だった人の就職・状況です。

●20歳時点の就学・就職の割合
就業のみ  ・・・34.5%
就学のみ  ・・・27.8%
就業、就学 ・・・19.6%

●20歳時点の就業状況
正社員        ・・・9.3%
パート、アルバイト  ・・・32.2%
家業手伝い、会社経営 ・・・3.4%

●20歳時点の就学先
大学、短大、高専   ・・・22.8%
高等学校       ・・・9.0%
専門学校、各種学校等 ・・・14.9%

●中学卒業後の高校進学状況
高校進学率 ・・・85.1%
高校中退率 ・・・14.0%
*参考:「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~

調査の結果、20歳時点で就業か就学をしている人の割合は約8割となっています。さらに、中学卒業後に高校へ進学した人が8割以上いることから、中学時代に不登校だった子も、多くの人は就職か進学をしているということになります。もちろん20歳以上になってから就職や進学をする人もいるので、実際には中学時代に不登校だった人でも現在は自分の道を進んでいる人はもっと多いといえます。

また、進学後の状況や感想についてのアンケートで、
「学校で信頼できる人に出会えた(68.0%)」、「自分の力や性格に合った学校でめぐり会えた(70.9%)」、「学校の雰囲気が自分に合っていた(65.3%)」と、不登校時と比べ、進学後に前向きな気持ちになっている人も増えていました。

近頃は、不登校に対する支援も強化されており、相談所や医療機関がたくさんあります。下記は厚生労働省が運営している相談窓口のサイトです。親御さんだけで抱え込まず、分からないことは専門家に頼り、うまく活用していきましょう。
▷不登校やいじめ、ひきこもりなどの相談窓口

不登校の中学生の進学先について

不登校の中学生の進路や割合について解説してきましたが、大半の親御さんは「高校に進学してほしい」と感じているかと思います。ここからは、不登校の中学生が卒業後にどのような進学先があるか紹介していきます。単位の取り方や学校の方針など、それぞれ特徴があるので、お子さんが無理なく通い続けやすい進学先にしましょう。

高校(高等学校)

①私立高校(全日制)
公立高校と比べて、私立高校は独自の校風や方針を重視している学校が多い傾向にあります。そのため、なかには個人的な事情を配慮し不登校のお子さんでも考慮してくれる高校もあるようです。まったく調査書(内申書)が影響しないわけではありませんが、2~3割程度の配分で審査されることが多いです。調査書が影響しない高校は、学力試験の結果を重視で合否が決まることになります。つまり、中学校で不登校だったり出席日数が不足していた場合でも、試験で結果を出せば入学できるということです。選考方法は学校の募集要項や説明会で案内しているケースが多いので確認してみるとよいでしょう。ただし、学力試験を重視する場合は試験当日までに十分な学力が必要な為、注意が必要です。お子さんの状況しだいですが、塾や家庭教師などを検討するのも一つの手です。

②通信制高校
通信制高校は、学校に通わず自宅で学習を進めて課題を提出し、単位を取得して卒業資格を得られます。不登校のお子さんは学校へ登校することや人間関係がストレスの原因である子もいる為、自宅で学習を進められることはメリットの一つです。ただし基本的に通学はしませんが、高校によっては学校への最低出席日数が決まっていることがあるので、事前に確認しておくことが必要です。

③定時制高校
定時制高校は、通常だと夕方~夜間に通学し、授業が受けられる学校のことを指します。最近では午前または午後のどちらかを選択して通学ができる高校も増えています。全日制との大きな違いは2つあり、1つ目が「授業時間が短い」、2つ目が「授業時間が選べる」ことです。一日の授業時間が少ない為、卒業まで3年~4年と時間がかかります。自由な時間が多いため、アルバイトと学業が両立しやすいこと。また、学校にもよりますが、全日制と比べて学習内容が比較的易しめであることがメリットです。

④チャレンジスクール
チャレンジスクールは、小中学校で不登校だったり高校を中退した方向けの定時制高校のことです。都道府県によって呼び名は異なり、チャレンジスクールとは東京都での名称です。ほかにも「パレットスクール」や「クリエイティブスクール」などの名称で設置されている都道府県もあります。基本的に午前・午後・夜間の3部制としていることが多いです。卒業まで最短で3年、通常だと4年程かかり、最長6年間まで在籍が可能です。

高等専修学校

高等専修学校は専門学校のような場所ですが、“専門学校よりも基礎的なことを学ぶ教育機関”というイメージだとわかりやすいです。高等専修学校は、中学卒業者を対象に募集しており、専門知識を学びながら高卒と同等の資格を得ることが可能です。職業教育に重点を置いており、国家資格の取得が目指せたり、今後の仕事で役立つスキルを身に着けることができます。
よくある分野は以下となります。

〇農業分野(農業、園芸、畜産、バイオテクノロジー、動物管理など)
〇工業分野(情報処理、マルチメディア、自動車整備、土木、建築、電気・電子工学、情報工学など)
〇商業実務分野(経理・簿記、経営、医療秘書、流通ビジネスなど)
〇医療分野(看護、歯科衛生、歯科技工、臨床検査、理学療法、作業療法、はり・きゅう・あんまマッサージ指圧など)
〇衛生分野(栄養士、調理師、製菓、製パン、理容、美容、エステなど)
〇教育/福祉分野(保育、社会福祉、介護福祉、医療福祉など)
〇服飾/家政分野(ファッションデザイン、ファッションビジネス、編物・手芸、スタイリストなど)

高等専修学校を卒業後、大学へ進学するか就職するか選ぶことになると思いますが、大学へ進学することを視野に入れている場合は注意点があります。高等専修学校卒業者のうち、「修行年限が3年以上等の要件を満たした者で、文部科学省が指定した学科の修了者は高校卒業と同等に大学入学資格を得られる。」ということです。
つまり、どの高等専修学校も卒業すれば必ず大学に進学できるという訳ではありません。大学入学資格が得られない学校である場合、別途高卒認定試験に合格する必要があります。事前に”大学入学資格付与指定校”かどうかを確認しておきましょう。

高等専門学校(高専)

高等専門学校は、一般的な五教科などの科目と専門科目(工業分野や商船分野)の両方を学びます。修行年数は5年で、普通科の高校の内容に加えて専門的な知識や技術が身についたり、ビジネスマナーを教育してくれることも多いため、就職に有利といわれています。しかし、入学してから別カリキュラムの学校への転校は難しいため、分野が合わないと感じた場合の選択肢が少ないというデメリットもあります。そのため、明確にやりたいことが決まっているお子さん向きといえます。

まとめ

かつて不登校だった子の進学や就職について、様々な選択肢があり、多くの人が将来を見据えてしっかり行動に移していることがわかりました。学校を休んでいることに対して罪悪感を抱いたり、将来について悩んでいるお子さんもいらっしゃるかと思います。親としてはそんなお子さんの様子を見て不安な気持ちになるもしれません。
今回の記事を参考に、進路について親子でいま一度話し合ってみてはいかがでしょうか。

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